発信者:Nexdata 日時: 10/23/2025
近年、スマートホームの普及が加速し、特に「ロボット掃除機」は単なる家電から、「生活を支える知的パートナー」へとその役割を進化させています。しかし、日本の住宅は欧米と異なり、狭小で複雑な間取り、多様な家具配置、そして畳や障子といった伝統的な要素が混在するため、ロボットの自律走行・障害物認識性能には極めて高い精度が求められます。
こうした背景から、大手家電メーカー各社は、自社製品のAI学習用に、実際の家庭環境を忠実に再現した高品質画像データの収集に注力しています。本プロジェクトは、そんな要望に応えるべく、Nexdataが実施した「家庭内におけるロボット掃除機視点画像データ収集プロジェクト」の事例です。
プロジェクト概要:細部までこだわった“リアル”なデータ収集
本プロジェクトでは、一般家庭(リビング、寝室、玄関、トイレなど)を舞台に、ロボット掃除機のセンサー視点で撮影された画像データを収集しました。収集対象となるのは、以下のような「日常的に存在する障害物」です:
さらに、これらの障害物に対して、角度・距離・背景条件を厳密に指定して撮影を行うという、非常に高度な仕様が求められました。具体的には:
距離: 30cm~1m(最大2m以内)の範囲で撮影。
角度: 「前後左右」4方向からの撮影を基本とし、それぞれ異なる角度・距離で複数枚撮影。
構図比率: 障害物が画面内に占める割合や、背景とのバランスにも明確な基準を設定。
特殊条件: 例えば「ペットの糞便」は、壁に近い場合と離れた場合でデータ量を変更。「ドア」は開閉状態を含むなど、実使用シーンを想定した細かい指示が多数ありました。
全体として、約10万枚の画像データを収集するという大規模プロジェクトでしたが、何より重要だったのは「要求通りの精度で、かつ納期どおりにデータを届けること」でした。
Nexdataの解決策:プロフェッショナルなチーム体制で成功を導く
このような複雑かつ高精度な要求に対応するため、Nexdataは以下の3つの柱でプロジェクトを推進しました。
プロなデータエンジニアが「仕様書」を共創
最初の段階で、当社の経験豊富なデータエンジニアチームがお客様と直接協力し、「採集規範」を一緒にブラッシュアップしました。単に仕様書を読むだけでなく、現場で実際にどのような撮影が可能か、どこに課題があるかを共有しながら、実現可能な詳細仕様に落とし込みました。
例えば、「ペットの糞便」の撮影について、当初は「画面内に1つだけ写せばよい」という曖昧な指示でしたが、エンジニアが「背景の家具との位置関係や、光の当たり方によって認識精度が変わる」と指摘。結果として、「壁際」「中央」「他の障害物隣接」など、複数パターンでの撮影が追加されました。
このように、当社のノウハウを積極的に提供することで、お客様自身の要件がより明確になり、プロジェクト全体の効率性が飛躍的に向上しました。
PMチームによる徹底した事前教育とQA体制
大規模プロジェクトでは、現場スタッフ一人ひとりが同じ理解で作業を進めることが不可欠です。そこで、Nexdataの専任プロジェクトマネジメントチームは、撮影担当者全員に対して事前に徹底したトレーニングを実施。また、QAマニュアルを作成し、撮影時のチェックポイントを明文化しました。
たとえば、「ドアの開閉状態」については、「完全に開いた状態」「半分開いた状態」「少し開いた状態」の3パターンを必ず撮影する、といったルールをマニュアルに記載。さらに、撮影中に「これはどうすればいい?」と疑問が生じた場合は、即座にプロジェクトマネージャーへ報告し、お客様と調整する仕組みを設けました。
これにより、現場の誤解やズレを未然に防ぎ、一貫性のある高品質データを安定して供給できる体制を構築しました。
3段階の品質検査(QC)プロセスで信頼性を保証
Nexdataでは、「一度の提出で完璧なデータを届ける」ことを使命としています。そのため、すべてのデータは、以下の3段階の品質検査を経てからお客様に納品されます:
第一段階:撮影担当者の自己チェック
撮影直後に、撮影条件(角度、距離、構図、照明)が仕様通りかを確認。
第二段階:専門検収担当者の精査
経験豊富な検収担当者が、画像の解像度、ピント、フレーム内物体の位置、不要な反射や影がないかなどをチェック。
第三段階:プロジェクトマネジメントチームによる最終レビュー
全体のデータセットとして、比率や数量、フォーマット、ラベル付けが仕様書通りかを最終確認。
この三重のガードラインにより、納品前の段階で不具合を99%以上排除。お客様からの「修正依頼」はほぼゼロに近いレベルで、予定通りの日程で、信頼性の高いデータを提供できました。
お客様からの評価:「安心して任せられるパートナー」
お客様からは、以下のようなお言葉をいただきました:
「当初は、ここまで細かい仕様を満たすことができるのか不安でしたが、Nexdataのチームは、技術的知識だけでなく、『日本の家庭』を深く理解していたのが印象的でした。特に、データエンジニアが一緒に仕様を磨き上げてくれたことで、私たちの想定を超えた高品質なデータが得られました。また、プロジェクトマネージャーの迅速な対応と、QCの徹底ぶりには感心しました。今後も、ぜひ一緒に仕事をしたいと考えています。」
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